参院選の争点① 無償教育が社会変える

心配なく学び、子育てしたい

保育士として働きながら、5歳と2歳の子どもを育てる大田区の女性(33)。共産党の提案に「2人を保育園に預けているので、無償化になれば助かります。共働きじゃないと大変ですから」と期待します。

イラスト 井桁裕子

 小学6年生と5歳、3歳の子どもがいる荒川区の母親(44)も共働き。5年前に購入した一戸建て住宅のローンを抱え、子育てや仕事、家事などで目が回るような忙しさです。

 「保育園料も給食費も無料になれば、いいですね。大学の授業料が半額、無償というのはもっとうれしい」

 長男の大学進学を考え、そろそろ塾通いをしなければと思っていた矢先。これから、下の子たちが相次ぐことを考えたら、将来は不安だらけです。「大学の学費が無償になるなんて夢のよう」

 無償教育の運動をすすめる「奨学金の会」会長の三輪定宣さん(千葉大名誉教授)の調べによると、各家庭の教育負担は異常です。それによると、子ども1人の幼稚園から大学までに必要な教育費の家計負担(2016年)は、国公立学校コースが1125万円、私立学校コースは2571万円にものぼります。

 三輪さんはいいます。

 「こんな国ってないですよ。家計支出(2人以上の世帯)の年額平均は388万円。私立大へ通わせたら200万円かかり、さらに私立の高校生もいたら300万円になりますからね」

「希望がわく」「社会が変わるかもしれない」―。参院選挙へ、共産党が発表した「くらしに希望を―三つの提案」の一つ「お金の心配なく学び、子育てができる社会を」が若い母親や学生たちからも歓迎。教育関係者から「日本の未来社会を切り開く推進力になる」との声もあがっています。

 三輪さんの調べで、OECD(経済開発協力機構)加盟国35カ国における教育予算の対GDP(国内総生産)比は、全ての教育段階で平均4・2%、日本は2・9%。高等教育では平均1・0%で日本は0・4%。いずれも最低。高等教育支出に占める公的支出と私費負担の比率は日本が32対68。公的支出は最低、私費負担は最高です。

 学費は調査したOECD30カ国の半数が無償。有償でも低額が一般的。学費が有償で給付奨学金がないのは日本だけ(調査時点の2015年)。(出典は「図表でみる教育―OECDインディケータ2018年版)

未来をひらく推進力に

千葉大名誉教授 三輪定宣さだのぶさん

無償教育を実現する上で何が問題か―。三輪さんは、日本の過重な教育費負担が「日本社会の疲弊と衰退の根源になっている」と指摘します。

 「奨学金を借りた学生が就職したら、毎月給料から2〜3万円を返済することに。夫婦で、そんなことを20年も続けたらどうなるか。子どもを2人育てたいと思っても、1人にするかもしれない」

 学生はアルバイトづけで勉強時間ゼロ、体はボロボロということにも―。

 「学生や若者に、これほど冷たい国はありません。北欧などのように学費を無償にして社会が支え、学生はゆったりと学んで大学生活をエンジョイ。無償教育になれば、子育て世代のお母さんや、学生に希望を与えることになります」

 国連が、幼児から大学までの教育を無償とする教育条項を含む国際人権A規約を採択し、発効したのは1976年です。しかし、日本政府は無償教育条項(13条2項)を留保し、その留保を撤回したのが33年を経た旧民主党政権のときでした。それ以来、「政府の責任」で無償教育を導入することになったのです。

 三輪さんはいいます。

 「日本のような先進国は『即刻』が基準です。ところが、日本政府は高等教育の無償化に全く手をつけず、内外から批判が高まったのです」

 安倍政権は「大学無償化」などといいながら、学費を値下げすることもしません。授業料減免の対象になるのは全学生のわずか1割。しかも財源は消費税の増税です。

 「政策が際立っています。すべての学生の授業料を『すみやかに半分に』とありますが、例えば5年以内と考えれば、来年度から24年度までに、私立大学の学費115万円が58万円に値下げされることになるわけです。給付奨学金の実施と併行して行われたら、効果は大きい。財源が恒久で可能という見通しも説得力があります」

 三輪さんは、無償教育へ、一刻も早い切り替えが必要だと訴えます。

 「所得にかかわらず、すべての段階でお金の心配なく学ぶことができる。そんな社会で育った子どもたちが20年後に社会の主役になれば、社会は変わります。未来を拓ひらく新たな希望になるかも知れません」

(2019年6月16日号に掲載)

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