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どうする原発? 予見されていた重大事故
吉井英勝衆院議員に聞く見出し
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吉井英勝衆院議員に聞く出し
東日本大震災関連
|11/04/16
日本共産党の吉井英勝衆院議員が内外のメディアから引っ張りだこです。今回のような原子力発電所の事故を予想し、大地震や津波による電源喪失・炉心溶融の危険を国会質問で警告していたからです。警告の内容や今後の見通し、自然エネルギーの活用などを聞きました。 (聞き手・松橋隆司)
─外国メディアの取材が多いですね。
それが特徴的です。原発大国フランスの国営テレビや新聞の「ルモンド」をはじめ、「ウォールストリートジャーナル」(アメリカ)、アルジャジーラ(カタール)など、幅広いメディアから取材を受けています。
─世界が重大な関心をもっている反映ですね。
今回の災害は、巨大地震、大津波、原発事故の3重災害で、しかもその中の原発事故は人災です。世界的にも教訓とすべきことがいろいろあると思います。今回のこの事態は、早くから私が、国会で繰り返し追及してきたことです。しかし、自民・公明政権も、民主・国民新党・社民連立政権も、具体的に、科学的に質問しても「日本の原発は大丈夫」だと繰り返すばかりで、まったくまともな対策をとろうとしてきませんでした。その結果が今回の大災害につながりました。
─政府も東京電力も「想定外の事故」だと…。
それはもともと想定しなければならないのに想定しなかったからです。新潟県中越地震(2004年10月)の際、柏崎・刈羽原発では重大な事故・不具合が起きていますが、このときも政府も東京電力も「想定外」といっていたのです。「想定していた」といえば、なぜ対策を取らなかったのかと責任を問われ、人災であることが明らかになるからです。
─津波に関してはどんな指摘を?
5年前の2006年3月の質問で大津波を引き起こしたチリ地震(1960年)スマトラ沖地震(2004年)、明治・三陸地震(1896年)の波の高さを紹介し、三陸地震では38・の記録があるので、巨大津波を想定した対策を求めました。
この時の質問では、「押し波」と「引き波」に対する対策も提起しました。今回は、押し波で、非常用の内部電源が壊れ、冷却機能がストップしました。このため、燃料棒の中にある放射性物質が放射線を出して大量の熱を放出し(崩壊熱)、その熱を除去できなくなり、炉心溶融(核燃料棒の溶融)に至りました。
引き波で海がしばらくの間、陸地に変わり、海面下4─6・の取水口から冷却水を取水できずに、炉心の冷却機能が失われる恐れを指摘しました。最悪の場合、燃料棒の崩壊熱を除去できなくなる危険があるからです。どんな場合でもチェルノブイリに近い原発事故を想定し、対策を取るべきだと要求したのです。
広瀬研吉資源エネルギー庁原子力安全・保安院長(当時)は、「必要な海水を取水できるように設計されている」と強弁して、対策を拒否しました。
─電源が喪失する危険も警告されていました。
原発の冷却水は電動ポンプで循環させて、海水で冷やす仕組みになっていますが、地震が起きると原発の発電がストップするので、ポンプを動かすためには外部から送電線を使って電力を送るか(外部電源)、デイーゼル発電機とバッテリー(内部電源)の組み合わせで電力を起こすしかありません。両方とも失ったのがまさに今回の福島原発の事故です。
「原発は2重3重の防御をしてある」と、政府は繰り返してきました。しかしこれまでも、送電鉄塔が倒壊した例が結構あるのです。内部電源もすべて喪失した海外の例をあげて質問しました(昨年5月26日衆院経済産業委員会)。「外部電源と内部電源のトラブルが同時に発生した場合にどういう事態が起こると考えるか」と。寺坂信昭資源エネルギー庁原子力安全・保安院長は「論理的には炉心溶融が起こり得る」と認めました。しかし政府も東京電力も対策を取らなかったのです。
─福島原発の事故の現状をどうみていますか。
今はまず事態を抑え込み、放射能による健康被害を最小限にとどめることに全力をあげなければなりません。そのためには、データをきちんと出させることが必要です。個々の原発建屋の地震データも公表されていませんし、どういう壊れ方をしているのか地震の実態がわかりません。原発のどの系列が残り、ダメになっているのはどこか、原発の設計図や配置図を公表して説明すべきです。7000億円もつぎ込んだ情報収集衛星からの衛星写真も公表されていません。
もう一つの面は、時間系列で、何時何分にどういう指示が出され、なにが行われたのかを明らかにすべきです。基礎的なデータがきちんと公開されることで、専門家の英知も集めることができるのです。
─原発依存から脱却できるか心配する人もいます。
原発は日本の電力の3分1を占めていますから、今ただちに切り替えるのは無理ですが、中長期的には、現在のような安全神話に基づく危険な原発依存は抜本的に改め、まずこれ以上原発を増やさず、再生可能エネルギーを爆発的に増やし、原発に頼らなくともやっていける方向を目指すべきです。私が昨年10月に出版した『原発抜き・地域再生の温暖化対策へ』(新日本出版)で詳しく紹介していますが、たとえば高知県梼原町は風力発電で生み出した電力を売り、年間約4千万円の収入を得ています。それを原資に森林の間伐を進め、間伐材を使った木質ペレットストーブ、太陽光パネル設置補助金、落差8・ほどの水力発電の設置などでエネルギーの3割を自給しています。こうした取り組みがすでに各地で試みられています。
現在、国民が電気代とともに支払っている原発推進のための電源開発促進税収の3500億円をすべて太陽光発電の補助金に回すだけでも、10年間で柏崎・刈羽原発と同じ発電量が得られると試算できます。原発から再生可能エネルギーへの転換は可能なのです。
(
写真中=爆発を起こした福島第一原発の衛星写真=3月14日、米デジタル・グローブ提供、写真下=福島第二原発の制御棒駆動機構を実地に調査する吉井議員=2002年8月
)
=「東京民報」2011年4月10日号掲載=
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