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奥多摩町 紅葉シーズン前に緊急測定

文科省調査 比較的高い数値受け 共産党 住民の声で都、町動かす

11/10/23

 文部科学省が6日公表した東京電力福島第一原発事故の航空機による都内の放射線量測定結果で、比較的高い値を示した奥多摩町では、健康被害の不安とともに、旅館の宿泊予約にキャンセルが出たり、奥多摩ビジターセンターに「山に入っても健康に害はないか」との問い合わせがあるなど、波紋が広がっています。観光が大きな産業の同町。紅葉シーズンを目前に控え、対策が急がれています。

 「町はちゃんと情報を公開してほしい。そうすれば対策も打てる。測定値は、できるだけ頻繁に出してほしい」。
 放射線量の公表直後、宿泊客からキャンセルがあった旅館の経営者は、日本共産党の島崎利雄町議(写真・左端)とみねざき拓実氏(同党奥多摩町民運動部長、町議選予定候補。写真・右端)に、こう訴えました。

名産のワサビ、野菜が売り


 文科省の測定結果では、国が除染の支援対象とする年間被ばく線量1・となる毎時0・23を超える箇所が同町の一部で測定され、山間部では毎時0・5を超える地点もありました。
 島崎、みねざき両氏には「奥多摩産のワサビや野菜が売りだったのに、どうすればいいのか」(食堂経営者)、「自家栽培した野菜を、さんざん食べたし、人にもあげてしまった」という声が相次いで寄せられました。
 こうした事態に両氏は7日、町に対して、土壌や農産物などの放射能汚染の徹底調査や対策をとること、都に対して責任ある対応を求めるよう緊急に申し入れました。共産党としても町と協力して、問題に対応していくと表明しました。
 町内の堆肥から国の暫定基準の2倍を超える放射能が8月に検出された問題でも3日、都に対し、堆肥に限らず土壌や農産物、キノコ類、野生動物など、影響が心配されるものについて、徹底した調査と対策を求めました。
 都は特別の対策は取らない考えを示していましたが、文科省の線量公表後、サツマイモとワサビ、原木シイタケ、シカ肉、ヤマメ、ニジマスを検査することに。このうち、シカ肉以外(15日現在未発表)、放射性物質は不検出と公表しました。町は7〜11日にかけて、小中学校や公共施設、林道など町内32カ所の空間線量を初めて独自に詳細測定し、結果を公表。年間被ばく線量に換算して、すべての地点で1・を下回ったとしています。
 みねざき氏は「町民の健康を守り、観光、農業への被害が拡大しないよう、引き続き徹底調査と対策を町と都に全力で求めていく」と話しています。

                  (東京民報 2011年10月23日号に掲載)