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都政転換、安倍暴走ストップ 違いくっきり ネット・テレビ討論で宇都宮さん | 14/02/06

主要4候補がそろったネット討論会

=2月1日、中央区
 都知事選(9日投票)で1日、インターネット事業者7社共催による主要4候補が出演するネット討論会が行われ、約20万人が視聴し、関心の高さが示されました。告示前には1度も開かれなかったテレビ討論も、2局(日本テレビ、フジテレビ)で放送されました。そうした中、街頭演説なども含め、各候補の政策・主張の違いが鮮明になっています。
 その特徴は、都民施策を切り下げて大型開発を推進してきた石原・猪瀬都政転換の立場に立ち、安倍政権の暴走と対決する立場から主張する候補は、宇都宮けんじ氏だけということです。
 宇都宮氏は福祉を削ってきた石原・猪瀬都政のもとで、特別養護老人ホームの待機者が4万3千人、希望する保育所に入れない待機児童は2万人を超えているとし、14年間新規建設をしてこなかった都営住宅には20万人が入れないでいると指摘。
 若者の雇用問題にも触れ「若者が働きやすい職場をつくります。お年寄りも安心して暮らせるまち、みんなが希望を持って生きられる東京をつくります」(ネット)とのべ、雇用や社会保障を守る政策を具体的に紹介しています。
 一方、石原・猪瀬都政の与党である自民、公明両党の支援を受ける元厚生労働相の舛添要一氏(65)は、待機児解消では保育の質を低下させる規制緩和を主張。防災では石原知事と同様、行政の公的責任を投げ出す「自助共助公助」を強調しました。
 元首相の細川護煕氏(76)は「福祉とか防災とかは誰がトップについても、あまりかわらない」と明言し、大型開発優先の都の3カ年計画「アクションプログラム」を「すばらしい」と絶賛。福祉で「自助・共助・公助」(選挙公報)を強調し2氏とも政策や主張に大差ないことが明らかになっています(一覧参照)。
 また知事選の原因ともなった猪瀬前知事の「徳洲会マネー」の裏献金疑惑に対しても、両氏とも「法律に基づいて対応する」「検察が捜査している」(日本テレビ)として、消極的。
 宇都宮氏は「都民の信頼を取り戻し、クリーンで利権にまみれない都政実現のため、都議会に百条委員会の設置を要請し、真相究明を進める」と約束(同)。「政治とカネ」の問題でも、違いがくっきりしています。
 安倍政権とのスタンスも同様で、例えば同政権の暴走を象徴する解雇自由化、非正規雇用拡大につながる「国家戦略特区」は、両氏とも無批判で、東京への指定を進める考えです。宇都宮氏は、「労働者には地獄だ。許してはならない」ときっぱり反対しています。



▼国家戦略特区とは

 国家戦略特区法は昨年12月7日未明に成立。安倍政権が6日深夜に秘密保護法を強行成立させたどさくさに強行。特区は「大胆な規制改革」の起爆剤と位置づけられ、労働者を守る規制であっても大企業が“邪魔”とみなせば撤廃するための「突破口」にする狙い。例えば雇用分野では、許される解雇パターンをあらかじめ決めてしまう「雇用ガイドライン」を作成するとしています。また「有期雇用の特例」をつくり、5年働いたら無期雇用に転換する権利を奪おうという計画もあります。

▼都のアクションプログラムとは

 猪瀬都政が昨年1月に策定した、3カ年(2013〜15年度)の重点計画。総事業費2兆6800億円の31%が、「東京の国際競争力強化」の名による3環状道路建設、「国際コンテナ戦略港湾」整備、大企業中心の都心・臨海再開発などにあてています。一方、少子化対策、医療対策は各2%、高齢者対策は3%、若者の雇用対策はわずか0・7%にすぎません。

(「東京民報」2014年2月9日号に掲載)