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都知事 11/29告示・12/16投票 

宇都宮けんじ氏が出馬表明 | 12/11/09

会見する宇都宮けんじ氏

 「人にやさしい東京をつくる会」は9日、国会議員会館内で記者会見し、同会呼びかけ人で前日本弁護士連合会会長の宇都宮けんじ氏(65)が、石原氏の辞職に伴う都知事選(29日告示、12月16日投票)に無所属で出馬を表明しました。
 宇都宮氏は「石原都政からの決別、転換を望む様々な市民グループや多くの都民、市民から都知事候補に要請され、出馬にいたった。いっしょになって人にやさしい都政、東京を取り戻すために全力をあげてたたかう決意です」と力を込めました。
 宇都宮氏は「東京から脱原発政策を進める首都東京をつくっていく」と強調。東京は原発電力の最大の消費地で、最大の東電株主であり原発事故の被害者支援は東京と都民にとっての責任だとし、「都知事になったら全力をあげて支援したい」と表明。原発について、一旦事故が起これば取り返しのつかない甚大な被害が発生すると指摘し、「原発は絶対に認めるわけにいかない。脱原発政策を進め、国や他の自治体に脱原発政策をとるように働きかけたい」と強調しました。
 宇都宮氏はまた、様々な指標を示して貧困と格差が広がり、孤立している生きづらい社会になっていると指摘。東京の財政力があれば貧困に歯止めをかけることが可能なのに「東京の方が貧困と格差を拡大している」とのべ、石原都政は「弱者を切り捨てた冷たい都政だった」と批判しました。
 日弁連会長時代、都教育委員会の「日の丸・君が代」強制に7回の会長声明で批判したと紹介し、「日の丸・君が代」強制は思想・良心の自由に反すると強調。この問題で一番の被害者は子どもたちだとし、「民主主義の担い手をつくるのが教育の目的。教師の管理統制で萎縮してしまっている。そういう中で、本当の教育ができるのか」とのべました。
 また「都政とまったく関係ない尖閣諸島の購入問題で、日中関係を悪化させた」とし、「これを契機に憲法改正や集団的自衛権の行使容認を叫ぶ勢力が台頭してきている。こういう状況に危機感を持っている」とのべました。その上で「国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義という憲法の基本原理を変容させるような憲法改正に反対します。平和で人権を守る首都を目指す」とし、そのことがアジア諸国との友好な関係を発展させる契機になると強調しました。
 宇都宮氏は会見で、「都政で実現をめざす4つの柱」(@誰もが人らしく、自分らしく生きられるまち、東京をつくりますA原発のない社会へ―東京から脱原発を進めますB子どもたちのための教育を再建しますC憲法のいきる東京をめざします)を発表しました。

出馬会見する宇都宮氏

 記者との一問一答は、以下の通り。
脱原発の時期は
 できるだけ早い方がいい。原発ゼロの国民的合意をできるだけ早くつくりあげることが重要だ。
他候補も脱原発を言うようになれば、争点にならないのでは。脱原発で具体的には何をするのか
 「脱原発の言葉だけでなく行動を市民、国民は見極めるようになってきている。民主党政権は脱原発を言ったが、閣議決定しなかった。大間原発の建設、大飯原発再稼働は矛盾する。都として福島原発事故からの避難者への生活支援、国へ発送電分離などを提案し、福島原発と柏崎刈場原発の廃炉を東電に提案する」
尖閣諸島購入の寄付金はどうするか
 「寄付者に返すのが筋。返還を精一杯やった上で、匿名の寄付など残ったお金をどうするか検討する。都政に関係がないのに、歯止めをかける人はいなかったのか、議会で厳しく追及されなかったのか不思議でならない」
石原都政の一番の失政は
 「貧困と格差の広がりだ。福祉や教育を充実さる手立てを打てなかったのかは残念。政治の役割は、社会的弱者を支援することだ」
東京五輪招致は進めるのか
 「都民の声、現場の声に耳を傾けながら、場合によっては見直す」
新銀行東京はどうするか
 「現場、都民の意見を聞いて検討したい。もともとは中小企業支援だったが、ほとんどやらずに国債などを買っている。存続させていいのかどうかは重要な視点であり、そういうことを踏まえて検討したい」
築地移転はどうするか
「土壌汚染など様々な問題があるのは認識している。現場関係者、都民の声を聞いて判断する。場合によっては見直す」

宇都宮けんじ(健児)氏の略歴 1946年、愛媛県生まれ。東京大学中退。71年に弁護士登録。サラ金・ヤミ金被害者救済に取り組み、「グレーゾーン」金利を撤廃させる貸金業法改正に尽力。反貧困ネットワーク代表、2008年末の年越し派遣村名誉村長、オウム真理教犯罪被害者支援機構理事長。10〜11年度、日弁連会長。
  

(「東京民報」11月18日号に詳報)