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都議会報道                   2013/10/06

都議会注目論戦 共産党 保育所に都有地活用を 東京都「有効な手段と考える」 利用可能233カ所公表 

代表質問する曽根はじめ都議

9月25日、都議会本会議
 都議選後、初の本格論戦となる都議会第3回定例会(9月18日開会)で、17議席、第3党に躍進した日本共産党の論戦が光っています。新聞各紙も共産党に注目し、報道しています。
 深刻な保育所不足の改善に向けた論戦も、その一つ。
 東京では保育所不足で今春、希望しても認可保育所に入所できなかった待機児童は2万1360人にものぼっています。働く意欲があっても子育てで働けないという保護者らは立ち上がり、行政不服審査法に基づく異議申し立てを行い、保育所の増設を求めて声をあげました。都政にとって待ったなしの緊急課題です。
 東京の場合、その大きな障壁となっているのが、土地の確保です。
 日本共産党都議団は曽根はじめ氏の代表質問(9月25日)で、それを乗り越え、認可保育園の増設を大きく促進するために、都の未利用地の活用と建設用地取得費への補助という2つの具体案を提案しました。
 曽根都議は猪瀬直樹知事が「都有地などの資産も活用していくなど、東京都自らもより積極的に関わっていく少子高齢対策を検討していく」(所信表明)とのべたことを「重要な発言」と評価。その上で「都有地の積極的活用に本腰を入れるとき」と提起しました。
 曽根都議は日本共産党の要求で財務局と交通、水道、下水道の公営企業3局の普通財産となっている500〜1万平方・の未利用地233カ所の所在地と面積が明らかになった(2、3面に一覧)ことをあげ「これらの都有地を認可保育園や特養ホームをはじめ福祉施設などに優先的に提供することが求められている」と提案しました。中井敬三財務局長は「都有地の活用を有効な手段として考えていく」と答弁しました。
 事態打開のもう一つの具体案が、認可保育所の新設・増築を希望する区市町村と社会福祉法人を対象に、用地費を補助する「東京都保育所建設用地取得費補助条例」。先の都議選で17議席に躍進して取り戻した議案提案権を活用して提出しました。
 曽根都議は土地購入費の工面に苦労する社会福祉法人の事例や、市長会が来年度予算要望で補助制度を求めたことを紹介し、「力を合わせて(補助制度を)実現させようではありませんか」と、各会派に条例案への賛同を呼びかけました。

五輪精神実現へ 力尽くす

 注目を集めた、もう一つの論戦は、東京開催が決まった2020年夏季オリンピックに関連するもの。
 曽根都議はIOC総会の決定を尊重し、「五輪精神の実現の場となるように力を尽くす」と表明。同時に、東京開催には内外から様々な不安と疑問の声が出ているとし、「無条件で信任するのではない」と強調。
 その上で、安倍晋三首相がIOC総会の最終プレゼンテーションで、福島第1原発の放射能汚染水問題について「状況はコントロールされている」と発言したことについて、「事実をねじ曲げた発言」と批判。首相の発言は国際公約であり、同席していた猪瀬知事も共同責任を負っていると指摘し、危機打開のため総力をあげ、国際公約を果たすよう求めました。
 猪瀬知事は「大事なことは本気で取り組むことを意思表明したこと」と首相を擁護。政府と東電の責任で対策を急ぐべきとの考えを示しました。

カヌー会場 地元意見聞

 曽根都議はまた、カヌー・スラローム競技会場について質問。
 都は同競技会場を葛西臨海公園に整備する計画を示していましたが、日本野鳥の会や地元江戸川区が豊かな自然が破壊されるとして、計画の見直しを求めています。
 曽根都議が日本野鳥の会や江戸川区などと協議し、全面的に見直すべきだと求めたのに対し、細井優スポーツ振興局長は「自然環境と調和した計画となるよう検討を進める」と答弁。詳細な環境影響評価の実施や、地元江戸川区や日本野鳥の会から意見を聞く考えを示しました。
 同公園には226種類の野鳥が生息し、23区で絶滅危惧種に指定された生物26種類が生息。国際オリンピック委員会(IOC)評価委員の現地視察報告書も「重要な野鳥の生息地」「環境に対するさらなる配慮が求められる」と指摘していました。

(東京民報2013年10月6日号に掲載)