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都議会報道                   2016/06/26

都議会検証 世論恐れた自民・公明 舛添氏辞職の裏に与野党攻防

ホテルの「お伺い事項」を示し追及する共産党・曽根都議

チェックインのときに書いてホテル側に渡すもので、宿泊者名以外に希望する領収書の宛名を書く欄も。もし政治団体名が書かれていれば、舛添氏の説明が虚偽だったことになり、政治資金規正法に違反する可能性が大きい。=6月23日、都議会総務委員会
  

野党第一党 共産党が存在感


 政治資金の不正使用や公用車の私的利用など、公私混同への批判の高まりのなか、舛添要一都知事は15日の本会議で辞職願を提出。真相を語ることなく21日、都庁を去りました。「辞職は当然」との声があがる一方、自民、公明両党が推薦し、全面支援した2代の知事が続けて「カネと政治」の問題で引責辞職したことに、「製造者責任」を厳しく問う声もあがっています。

 「自民党も舛添と同じだ」「仕事をしろ」
 日本共産党と生活者ネットが共同提出した、舛添知事の疑惑を解明するための強い権限をもつ調査委員会(百条委員会)の設置条例案を否決した15日の都議会本会議の閉会直後、傍聴席から怒気を含んだ声が飛びました。退席しようとしていた自民党議員の何人かは、傍聴席の方を振り返り、にらみつけました。
 もともと舛添知事の疑惑追及に消極的だった与党の自民、公明両党。それが急転直下、舛添知事の辞職要求へとかじを切ったのは、なぜかー。

超党派で審議要求

 「背景には猪瀬前知事の13倍以上にのぼる、都庁に寄せられた3万3000件もの批判の声に見られる世論と、共産党都議団を含めた4会派の共同があった」と語るのは、共産党都議団の清水ひで子政策調査委員長。舛添知事の疑惑を一問一答形式でただした総務委員会の理事です。ターニングポイントとなったのは、9日の総務委員会前の理事会。疑惑解明をめぐって与野党の激しい攻防があったと振り返ります。
 自民、公明両党は舛添氏への批判世論に押されて一問一答形式の総務委員会での集中審議に同意したものの、与党提案は当初、13日は資料請求のみにして、定例会閉会(15日)後に、知事を呼んでの集中審議を行うというもの。
 最終本会議で共産党などによる不信任決議案の提出を封じる狙いが見え透いていました。
 これに対し、野党第1党の共産党は13日に集中審議を行うよう、総務委員会に動議を出すと表明。これに同調した民進2会派、かがやけとともに総務委員会を開くよう、そろって要求したのです。1時間半にわたる長い休憩の後、自民、公明はしぶしぶ13日の集中審議に応じました。
 共産党が動議を出すことになれば、賛否が採られ、反対すれば舛添知事をかばう姿が白日のもとに。そうなれば批判の矛先は自民、公明にも向きかねず、参院選への影響は避けられません。自公にとって、そういう事態は何としても避けなければなりませんでした。

答弁する舛添氏

都議会総務委員会、6月23日

全国注視の総務委員会

 こうして舛添氏を呼んでの集中審議が実現。13日の総務委員会には大勢の報道陣が押しかけ、テレビによる生中継など、全国注視の中で開かれました。
 しかし、自民党は持ち時間のうち10分間を他会派に譲り、実際の質問はさらに約10分を残して終了。厳しい言葉はぶつけるものの、この期に及んでも辞職には触れず、公明が初めて辞職要求を口にしたこともあって甘さが際立ちました。
 これに対し、共産党の曽根はじめ都議の追及は、疑惑を道義的な問題だけにとどめず、法的な罰則が適用される政治資金規正法違反の疑いを限りなく黒に近づけ、自民党も辞職を言わざるをえないところまで追いつめたのです。
 これにはマスコミも注目し、インターネットのツイッター(短文投稿サイト)などでは、生中継を見ていた視聴者からの「共産党はやるじゃない」「見直した」などの書き込みが飛び交いました。
 この委員会後、自、公を含め全会派が不信任決議案を提出することで一致。共産党が共同提出を早くから呼びかけていました。最終本会議の前日14日夜、非公開の議会運営委員会の理事会を訪れた舛添氏は、リオ五輪まで不信任決議案の提出を待ってほしいと涙ながらに懇願しましたが、辞職を免れることはできませんでした。
都議会本会議の一般質問で、ホテルの領収書を示して舛添氏の政治資金の不正使用を追及する共産党・大島よしえ都議=2016年6月8日


(東京民報2016年6月26日号に掲載)