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都議会 かち都議が代表質問  11/06/23

地震、放射能から都民守れ 原発から撤退 自然エネ都市を

 東日本大震災後、初となる定例都議会(6月17日開会)の代表質問が6月23日行われ、地震と放射能汚染から都民の命と暮らしをどう守るかをめぐって論戦がくり広げられました。日本共産党は、かち佳代子都議が質問し、東日本大震災の被災者支援や東京電力福島第一原発の事故による放射能汚染対策、原発依存から自然エネルギーへの転換、大型開発優先をやめ防災・福祉都市づくり、2020年五輪招致問題などで、石原慎太郎知事を追及しました。

未完成な原発技術 石原知事、認識問われても答えず
 
 かち都議は、いまだ収束のめどが立たない原発事故について、歴代政府と東電が「安全神話」に固執し、とるべき対策をとってこなかった「人災」だと指摘。「管理の問題」という石原知事に対し、「原発が安全か否かは、管理というレベルではない」と反論。原発から出る大量の放射性廃棄物「死の灰」を安全に原子炉内に閉じ込める手段を人類は手に入れていない「未完成」で危険な技術だとのべ、石原知事の認識をただしました。
 また東海地震の震源域に立地する浜岡原発について、石原知事が「防波堤を含めて、できるだけ早い時期に完成された形で原発が始動することが好ましい」と発言していることに対し、「大地震・津波に襲われ、施設が重大な損傷を受ければ、福島原発よりはるかに超える損害、被災を都民にもたらす」と指摘し、「廃炉にするよう求めるべきだ」と迫りました。
 石原知事は原発事故について、「管理の問題」だと繰り返し、共産党の主張は「短絡的に原発廃止ありき」などと、事実をねじ曲げて攻撃。浜岡原発の問題も「私の発言のどこがおかしいんですか」と開き直り、質問にはまともに答えることができませんでした。

放射能対策万全に

 母親らは「子どもの通う保育園や学校の校庭は大丈夫か」という不安の声をあげています。都は地上18bにある新宿区内の1カ所でしか空気中の放射線量を測定してこなかったからです。
 共産党都議団は、都民の不安を受け、都内128カ所、地上1bで独自に測定し、都に測定箇所を抜本的に増設するよう要望。共産党の取り組みは反響を呼び、都はようやく都内100カ所、地上1bで線量を測定。しかし1週間のみで、あとは測定器を区市町村に貸し出すというものでした。
 かち都議は都の対応は不十分だとし、「未来を担う子どもたちの安全を必ず確保するという厳しい立場で放射能対策にあたるべきだ」と追及。学校や保育園・幼稚園の測定器購入への支援、年間線量基準1_シーベルトを超える校庭の土入れ替え費用や放射性汚染物質の全容公開を東電と国に求めること、都として継続的測定を求めました。

五輪招致問題 いまやるべきは防災・福祉都市づくり
 かち都議は、石原知事が2020年オリンピック招致の意向を表明したことに対し、「いま日本が一つになって総力をあげるべきは、被災者支援と地震と放射能から都民の命と暮らし守ることではないか」と提起。「巨大道路建設や大型開発に重点を置くなら、復興や安全なまちづくりに人や物、お金を集中できない」と強調しました。
 都は「基本戦略」で「震災災害に足踏みすることなく東京の都市インフラの取り組みを加速する」として、国や都の財源を東京の大型開発に優先的に投入する方向を改めて打ち出しました。
 知事のいう都市インフラの最重点の一つ外環道だけで、3兆5千億円もの事業費が必要となります。その上に、五輪招致表明で、ため込んだ4000億円余のオリンピック基金を温存しようというのです。都内には緊急に耐震化すべき木造住宅は約60万棟も残され、1兆数千億円の財源が必要とされています。かち都議は、基金を住宅の耐震化などに活用するよう求めました。

太陽光発電で1割供給可能

 かち都議は、原発からの撤退という主張に関連して、再生可能エネルギーの普及で安定的な供給を目指す新エネルギー戦略作りや、エネルギー浪費社会からの転換を提言しました。太陽光発電について都有地、学校など公的施設の活用で年間発電量約65億`h時、都内の民間住宅3割に普及すれば年間28億`h時、合計すると都内供給電力の1割以上に当たる93`h時が可能となるとの試算も示し、河川、用水路の中小水力発電、洋上風力、波力発電の普及を提案しました。
 大野輝之環境局長は「再生可能エネルギーの導入促進など、多様な電源確保の重要性が高まっている」と答弁しました。
 かち都議は「都民だれもが健康で文化的な最低限度の生活ができる東京をつくることは、都の責務であり、防災都市を進めていくうえでの前提」とのべ、国保料軽減のための市区町村への支援、地域医療を担う中小病院への支援を求めました。

                           (東京民報7月3日号に掲載)