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築地市場移転問題 Tsukiji Shijyo

豊洲新市場予定地の土壌汚染 安全宣言撤回を 共産党都議団が要請 | 14/01/19

 日本共産党都議団は12月25日、豊洲新市場予定地(江東区)の土壌・地下水汚染対策をめぐり、専門家らでつくる都の技術会議(座長=原島文雄・首都大学東京学長)が一部街区の工事着工へ「安全宣言」を出したことについて、「とうてい容認できない」として、「安全宣言」撤回と客観的立場に立った専門家による再検証を都に申し入れました。
 技術会議は12月24日、7街区(水産卸売場など)で土壌汚染・地下水汚染対策が完了し、5街区(青果卸・仲卸売場)、6街区(水産仲卸売場など)の一部で対策を実施中と報告。技術会議の提言による対策が効果を発揮していると強調し、年度内に残りの街区の対策が完了する見込みだとしています。これを受け塚本直之中央卸売市場長は7街区の管理棟の建設工事に着手する意向を示しています。
 新市場予定地はベンゼンやシアン化合物などで高濃度汚染されており、汚染対策が確認されないまま見切り発車することに批判があがっています。
 共産党都議団は申し入れで、都が安全宣言の根拠にしている土壌汚染対策法について、一般的な場所で「健康被害が生じるおそれがない」かを確認する法律であり、環境基準の4万3000倍ものベンゼンが検出された土壌汚染地の上に、生鮮食料品を扱う中央卸売市場をつくることは想定していないと指摘。その上、同法が安全確認の基準としている2年間の地下水モニタリング調査さえしていないと批判し、少なくとも国が都に求めている「食の安全性や信頼が確保されるよう科学的知見に基づき万全の対策を講ずる」という立場に立って汚染対策をすべきだとしています。

開場1年延期か 入札不調の影響で

 都は11月に新市場建設工事の一般競争入札を行いましたが、4件のうち3件(青果棟、水産仲卸売場棟、水産卸売場棟)は参加者が辞退したことで入札不調となり、契約したのは7街区の管理棟の1件だけ。資材価格の高騰などが背景にあると見られ、そのため都は、不調に終わった3件の予定価格を計628億円から1035億円に400億円、率にして6割超を増額し、2月13日に改めて開札します。
 都は竣工予定(2015年度中)の変更はないとしていますが、これに伴い、都が想定していた2016年春の開場に影響すると見られ、最長1年伸びるとの報道もあります。
 築地市場の移転は石原・猪瀬都政が「食の安全を守ってほしい」という市場関係者や都民の声を押し切り、強引に進めてきました。しかし2月9日投票で行われる都知事選に出馬表明している宇都宮けんじ氏は、移転計画の見直しを公約しており、選挙結果によっては、都民が求める築地での再整備へ、計画そのものが大きく変更される可能性が出てきました。

(「東京民報」2014年1月19日号に掲載)